…3。
「なんの為に開発したと思ってんの!」
開発って、何を?
「あなたの乳首が感じるのも!お尻でイケるようになったのも!全部こんな日が来ることを予想しての事よ!」
「……はぁぁ!!??」
ちょっと待ってくれ!
確かに乳首は気持ちいい。
お尻だって、初めは嫌だったけど絶対気持ちいいからって押し切られて、アナル用の玩具で責められるようなセックスも経験済みだったりする。
でもそれは、彼女が大好きだったからで、決してリアルでBL界に足を突っ込む為じゃない。
「…冗談だろ?」
「本気と書いてマジと読む!
初めて見た時からそうなると思ってたの。絶対翔くんは受けだって。いつか彼氏が出来るってわかってた!」
…いや、俺にはわからないし。
「せっかく念願の男子校で、生徒から先生まで入れ食いなのよ?そこに私の存在があったら、翔くんの足枷になっちゃう…。」
…いや、そんなに目を潤ませて熱弁されても。
てか、入れ食いってなんなのよ。
「…頑張ってきてね。私の事は気にしないでいいから。」
「……気にします。」
「彼氏なんていなくっても、BL本があれば生きていける!」
「それはそれで悲しすぎる人生だと思います。」
ギュッと俺の手を握ってきた彼女に色んな意味で泣きそうな顔を向けると、これまた泣きそうな顔で彼女も見つめ返してくる。
「…もし。もしよ?本堂に行っても彼氏が出来なかったら、その時は私が責任を持って幸せにしてあげる。」
「!?」
え?まさかのプロポーズ!?
「でも、ちゃんと好きな男が出来たら…」
いや、出来ないと思うけどさ。
「…出来たら…?」
途端にギラギラとした光を放った瞳が真っ直ぐに俺を射抜き、到底女とは思えない、イベントで鍛え上げられた握力でギリギリと俺の手を締め上げてきた。
「全部私に報告しなさい。
名前も年も属性も!
キスもエッチもとにかく全部!!ね!」
「………………………はい。」
…ヤバい。泣きそう。
力任せに握り締められた手も深く傷付けられた心も、とにかく全部が痛かった。
それはもう。
『恋愛なんて当分したくない』
…なんて思っちゃうくらいに。
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