3 「僕アレンの事は好きだけどぉ、家族の事も大切なんだ…。 アレンと同じだね…?」 ローソクに集中的に囲まれているアレンがジリッと動こうとしたのを、ロードは見逃さなかった。 「動かないで…僕今キレてるんだ…。 赤毛の子…ラビっていうんだっけ? そいつの心、僕の中にあるんだけど…めちゃくちゃにしてやる…!!」 …えっ…! 「ラビを解放して! 私が代わりになるから…!」 「奈穂!? ダメです、代わるなら僕が…」 「どっちもダァ〜メ…。 アレンは、友達を傷つけられる方がキツイもんね? 奈穂は、伯爵に怒られ…」 「ロードたま!」 「分かってるって。 極秘なんでしょぉ?」 カボチャ頭の傘が遮ったが、今の会話でアレン達は何も感づかなかったらしい。 ちょっとだけ、ホッとする。 「あ、悲しいお知らせがきたよぉ…。 ラビの心が、たった今死んだみたい〜」 …え? 振り返れば、いつの間にかそこにはラビの姿が。 でも、いつもと雰囲気が違う。 左目の下には変な模様が浮き出てるし。 しかも、私とアレンを攻撃し始めたし! 「ラビ…ラビ、一体どうしたっていうの!?」 「今のその子に何を言っても通じないよ〜?」 ラビの素手での攻撃。 いつもとは違って本気なのが分かった。 私は途中で逃げたが、アレンは背中から壁にぶつけられてしまう。 「アレンっ!!」 「ラビ…目を覚ましてください…!」 アレンがラビの肩を強く抱きしめる。 「世界よりも仲間を大切に思うリナリーが、泣いてしまいますよっ…!!」 アレンの悲痛な声も虚しく、ラビに肩を押され、またしても壁にぶつけられる。 「オレは、お前等の仲間になった覚えは無い…」 心ない声が、私達を凍らせた…。 …ラビ、本当にあなたではなくなってしまったの? 「そう、今は『偶然』エクソシストの側にいるだけ。 お前等を仲間とも思ってない。 ブックマンは何に関しても中立でなくちゃいけない。 …それがその子の本心なんだよ!」 アレンに対して鎚を使おうとしているのを見て、私も戦闘態勢に入る。 「奈穂!? ダメです、剣を下ろしてください! ラビは僕が何が何でも正気に戻します!!」 …分かった、アレンを信じる。 私には何も出来ない…。 でも、私も願ってるから…ラビが元に戻るって。 お願い、アレン…。 ラビを気遣って攻撃しないアレンは、私とは違うね…。 私は、仕方が無くなったらやむを得ず戦う気でいたから。 お兄ちゃんとも戦ったし。 アレンと私は、全然違うね…。 . [*前へ][次へ#] |