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「何で千年公が僕らに目を付けたと思う?
僕らの祖先に、ノアが多かったからなんだよ。
本来なら血族とかの関係は無いんだけどね」
「それが何?
ノアじゃない可能性の方が大きいでしょう!?」
「とりあえず、聞いて。
香奈の中に現れた巨大な力…あれは、実はノアの力なんだ。
双子は、片割れが必ずノアで、もう片方を吸収すると巨大な力を得る。
…つまり、ノアになるんだ」
「何、それ…?」
「だから、君が三つ巴を使いこなせば使いこなす程、ノアになる。
…嘘じゃないよ?
そのせいで、僕たちの家系では双子が忌み嫌われ、殺されてきたんだから。
それ程までに、双子の誕生がノアの出現の予言だという事は確実だった」
「嘘…」
「これは千年公から聞いた秘密事項で、確証もある」
「嘘嘘嘘嘘嘘!!
私はエクソシストよ!?
ノアのはずが無いじゃない!!」
「あぁ…じゃあ、その額の傷は何だろうね?」
ハッとして触れてみると、手には真っ赤な血がねっとりと付いた。
傷をなぞればそれは幾つも連なった十字架で…。
「!?…嘘よ!!」
「もういい加減に認めちゃいなよ」
お兄ちゃんの言葉をよそに、ポーチから出したガーゼと包帯で傷を隠す。
「私は絶対に違うから…これはきっと幻よ…」
呆れたような顔をしたお兄ちゃん。
お兄ちゃんは肌が今までより黒くて、額には聖痕がある…。
ノアだと分かった時は、どういう気持ちだった…?
私は…全てを否定する事でしか、自分を保てずにいた…。
教団に帰る…また、ユウと会える事を夢に見て…。
その時、隼人お兄ちゃんが何かを感じ取った。
「!?…ティキ…?」
いつの間にか、水の攻撃によって立ち込めていた霧の中にいた。
駆けていったお兄ちゃんを追い掛けて、視界の開けた所に出る。
そこでは、アレンが大剣でティキを刺しているところだった。
暫くして、ティキは額から聖痕が消え、気を失ったのか倒れた。
「ティキ…」
静まった空間にお兄ちゃんの声が響き、お兄ちゃんは何処かへ姿を消した。
次に“箱”から出て来たチャオジーの歓喜の声が聞こえてきた。
しかし、チャオジーの喜びは長く続かず、次の瞬間、ロウソクが背後から刺さっていた。
「全員、動くな…」
ロードがいつもよりも低い声で言い、ティキの側に降り立って頭を抱く。
見た目はあまり変わっていないが、内心は怒っているよう…。
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