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「皆?
今どこにいる?」
ゴーレムに向かって喋りかける。
アクマが邪魔で容易に歩けやしないのだ。
「変な塔から東に3キロくらい?」
この声はデイシャだな。
「私は西5キロといった所だろう」
これはマリだ。
「ちっ…俺は南だ」
…ユウ。
「長い夜になりそうじゃん?」
「アクマのノイズがあちこちで聞こえる…。
密集区に入ってしまったな…」
「皆、どこかに集まれない?」
「じゃあマリのオッサンとこ集合って事で」
「時間は?」
「…夜明けまでだ」
ユウは厳しいな、とか思ったが、取りあえずデイシャは乗り気だし…。
「よー…っし、了解!!」
スラッと蒼剣を鞘から抜き、発動させる。
この町は水路が多い…私にとても有利だ。
「『蒼い水流』…」
水路の水が溢れ、蒼剣を媒体として、アクマに攻撃する。
「あちゃー…民家が水浸しじゃん。
後で怒られないかなぁ…」
急いで走りながらも、呑気に独り言をぐちる。
いくら走っても脇道から沢山のアクマが出て来るので、進度が遅い。
「古い技でもいくかな…。
…『蒼き燭光』」
蒼剣の光が増し、威力が上がった事が分かる。
「ヘッ!
んなもん、当たんなきゃ意味無いし!」
飛行型のアクマが舌を出して笑う。
先程までの『水流』よりも危険じゃないと楽観視しているのだろう。
「…甘いよ」
思いきりジャンプして、切り付けるが、当然やすやすと逃げられる。
しかし、油断していたアクマの後ろから何かが当たり、アクマは朽ちた。
「分散型の攻撃なんですよーだ。
でも、威力も分かれるからあまり使えなくてねぇ…」
ふぅ、と息をつく間にも、アクマは集まってくる。
「…気が滅入るんですけど…」
蒼剣を掴み直し、増え続けるアクマと対峙する。
「夜明けまで…か。
置いて行かれないようにしないと」
水をほとばしらせながら、真っすぐに攻めていく。
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