5 「…ラ…ラビ!!」 「んのやろ…!」 ユウがラビの胸倉を掴み、思いきり壁に押し付ける。 「何さ、ユウ。 頬っぺたちゅーぐらいで」 「お前、そのただのキスが命取りになる事を覚えておけ…!」 「(真正面にいるとこわーい…) 冗談さ! ほら、オレってそういう冗談が多いって知ってるっしょ?」 「…ふんっ…」 「じゃ、そうゆう事で〜」 ラビが掌をひらひらさせながら、その場を立ち去ろうとする。 私の横を通り抜ける時、ボソッと呟いた声が聞こえた。 「…オレは本気さ?」 「〜〜〜〜〜!!」 振り返ると、既に本人は消えていて。 「おい、あいつに何を言われた? 顔が赤いぞ?」 「べ、別に何も!」 「(怪しい…)」 「それより、じゃあ行ってくるね!」 「あぁ」 「…って、それだけですかー?」 そっぽを向いているユウの顔を覗き込むと、少し赤くなりながら…。 「早く戻ってこい! 怪我、するんじゃねぇぞ!」 …ふふ、素直じゃないんだから。 そして、私は教団を出て、例の町の中へと足を踏み入れた―――。 . [*前へ][次へ#] |