[携帯モード] [URL送信]




…思わず、その場を逃げ出そうかとも思った。
でも、さっき決心したばっかりじゃない!と踏み止まった。
でも、どうやって謝れば良いのかな?
またここに居たいから、許してもらうには…?

とにかく、“謝る”という言葉しか頭に思い浮かばなかった。

「〜〜〜〜〜っ。
ごめんなさい!
何て言えば良いのかは分からないけど、とにかくごめんなさい!」

そう言って、頭を深く下げる。
すると、ざわめいていた周りの聴衆が、一気に静まり返る。

やっぱり、だめ―――?

そっと顔をあげると、皆が顔を見合わせていたのが分かる。
そしてついに、私はその場を逃げ出してしまった。

やっぱり、ダメ…



「香奈、待って!」

逃げ出して暫く走ったところまで、リナリーが後を追ってきた。

「リナリー…やっぱりダメみたい…。
許してもらう前に、私の身が保たないよ…」

「香奈…」

「覚悟はしてた…でも…!
…私はいざって時にとても弱い人間なの…」

「香奈…そんなに思い詰めないで…」

「でもっ!」

「…いらっしゃい」

強く手を引かれて、リナリーと並んで歩き出す。

「あなたの目で確かめてから、その弱音を吐きなさい」

…どういう事…?
意味が、分からない…。



リナリーに連れられて着いた所は食堂だった。
扉が開かれると、その向こうで待っていたのは…。

科学班や探索班など、団員のほとんどが集まったんじゃないかってくらいの人だかり!

「ど…うして…?」

「香奈の歓迎パーティーよ」

…涙が出るかと思った。
皆、怒ってないの?

―――良かった。

「皆で、香奈の帰りを待っていたんだよ?
本当に!」

ジョニー…

「皆で香奈をびっくりさせようとして、こんなに盛大なパーティーにしたんだ!」

タップ…

(でもさっき、悪口を言われてたけど…?)

思考を読まれたように、その答えをリーバー班長が教えてくれた。

「さっき、皆で悪口言ってたろ?
あれ嘘だ、気にすんな。
ただのカモフラージュだとさ。
あれ聞いた後、ここに連れて来て驚かせるとか何とか…。
ったく、どこの馬鹿が考えたんだかな…」

次はジョニーが割り込んで来た。

「…本気にしちゃってたら、ゴメンね…?
あそこまで気にしてるとは思ってなかったんだよ、きっと」

……もぅ…

「ほら、香奈って顔広いからさ、他の部所の奴じゃない?」

「皆の…意地悪…」

「あ〜止められなくて悪かった!
謝るから泣くなって!」

自分で気付かなかったが、目元に触れると、濡れていた。
ゔ〜泣いちゃダメ!
泣き止め〜!

「だ、大丈夫…」

はぁ、止まってきた…かな。



.

[*前へ][次へ#]

5/6ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!