5 …思わず、その場を逃げ出そうかとも思った。 でも、さっき決心したばっかりじゃない!と踏み止まった。 でも、どうやって謝れば良いのかな? またここに居たいから、許してもらうには…? とにかく、“謝る”という言葉しか頭に思い浮かばなかった。 「〜〜〜〜〜っ。 ごめんなさい! 何て言えば良いのかは分からないけど、とにかくごめんなさい!」 そう言って、頭を深く下げる。 すると、ざわめいていた周りの聴衆が、一気に静まり返る。 やっぱり、だめ―――? そっと顔をあげると、皆が顔を見合わせていたのが分かる。 そしてついに、私はその場を逃げ出してしまった。 やっぱり、ダメ… 「香奈、待って!」 逃げ出して暫く走ったところまで、リナリーが後を追ってきた。 「リナリー…やっぱりダメみたい…。 許してもらう前に、私の身が保たないよ…」 「香奈…」 「覚悟はしてた…でも…! …私はいざって時にとても弱い人間なの…」 「香奈…そんなに思い詰めないで…」 「でもっ!」 「…いらっしゃい」 強く手を引かれて、リナリーと並んで歩き出す。 「あなたの目で確かめてから、その弱音を吐きなさい」 …どういう事…? 意味が、分からない…。 リナリーに連れられて着いた所は食堂だった。 扉が開かれると、その向こうで待っていたのは…。 科学班や探索班など、団員のほとんどが集まったんじゃないかってくらいの人だかり! 「ど…うして…?」 「香奈の歓迎パーティーよ」 …涙が出るかと思った。 皆、怒ってないの? ―――良かった。 「皆で、香奈の帰りを待っていたんだよ? 本当に!」 ジョニー… 「皆で香奈をびっくりさせようとして、こんなに盛大なパーティーにしたんだ!」 タップ… (でもさっき、悪口を言われてたけど…?) 思考を読まれたように、その答えをリーバー班長が教えてくれた。 「さっき、皆で悪口言ってたろ? あれ嘘だ、気にすんな。 ただのカモフラージュだとさ。 あれ聞いた後、ここに連れて来て驚かせるとか何とか…。 ったく、どこの馬鹿が考えたんだかな…」 次はジョニーが割り込んで来た。 「…本気にしちゃってたら、ゴメンね…? あそこまで気にしてるとは思ってなかったんだよ、きっと」 ……もぅ… 「ほら、香奈って顔広いからさ、他の部所の奴じゃない?」 「皆の…意地悪…」 「あ〜止められなくて悪かった! 謝るから泣くなって!」 自分で気付かなかったが、目元に触れると、濡れていた。 ゔ〜泣いちゃダメ! 泣き止め〜! 「だ、大丈夫…」 はぁ、止まってきた…かな。 . [*前へ][次へ#] |