3 …………私は今、現実逃避中。 室長の声が聞こえてきた途端に、逃げて来てしまって…。 とある階段に座り込んで、目の前をじっと見つめ、静かにしている。 はぁ、私はこんな所で何してるんだろ…。 皆に許してもらいに来たんじゃないの? 逃げてばかりじゃいけないから。 いけないって、気付いたから。 それなのに……。 「あ゙ーーーっ!!」 これは、ちょっとした気合い入れ。 「よっし、皆待ってて! 今、会いに行くから!」 口にした言葉は適しているとは言えないが、覚悟を決めて歩き出した。 先ほど引き返した所まで来てみると、あのコムリンがいる! って、エレベーターの上で皆は何してるの? …あ、室長が縛られてる。 最初に私に気付いたのは、リーバー班長だった。 「香奈、どこ行ってたんだ!? 心配したぞ!」 「ご、ごめんなさい」 それでも、壁の影に隠れ続ける。 「お前、皆を助けたくはないのか! 気付いたんだが、多分、コムリンの中にはお前のデータは無い…。 あれを倒せるのはお前だけだろ!」 「無理無理無理! あんなゴツいのをどうやって!?」 そんなこんなで話していると、今度はアレンが狙われ、捕らえられてしまった。 「手術♪手術♪とにかく手術♪」 「何、あの入口ー!! イノセンス発動! …ふにゅら?」 …変な声を出して、倒れてしまったアレン。 室長が吹き矢を使ったらしく、エレベーターが賑やかだ。 「リ、リーバーしゃん…。 リナリーを連れて、逃げてくらしゃい…」 「アレーーーン!」 リーバーさん、アレンのコートを掴んでぶらさがっちゃってるし。 コムリンの標的がまたリナリーに移っちゃったし…。 もう、どうすればいいの! リナリーが危ないから、あの機械は止めないといけない…。 もう、迷ってる暇は無いよね!? 物影からばっと飛び出してコムリンとリナリーの間に立ち、蒼剣を構える。 「コムリン、来いやぁ! 私が相手してやる! だからリナリー、早く起きて! 早く…!」 エレベーターの上からは、訝しげな声が聞こえてきていた。 「起きて、リナリー!」 必死にリナリーを起こそうとするが、その時、コムリンの腕(?)がすごい勢いでこちらに向かって来た! (ヤバッ…! イノセンス発動!) ―――どかぁーん! . [*前へ][次へ#] |