花穂

「はーなーちゃーん」
「…」
「花ちゃーん」
「…」
「花ちゃん!シカトしないでよ!」
「……」
「もう、そんなにツンツンしちゃって!俺のこと好きなく「だーっ!先輩うるさいです!それ以上喋ったら怒りますよ!」
「あ、やっと喋ってくれた。花ちゃんは本当に可愛いねー」


この人、人の話し聞いてない。

でも、こんな先輩だけど、先輩のこと、好きだよ。

だってずっと前から憧れてたんだ。
かっこよくて、人気者で、そして、僕を助けてくれた恩人。

想っているだけでも幸せで、でもちょっぴり辛い時もあった。
でも、ある日突然先輩に告白された。


え、僕のどこが良いの?って感じだった。
僕に良い所なんて何一つないのに。


先輩はかっこよくて、人気者で、僕を助けくれた恩人だったけど、付き合い出してみると、先輩の本性が良く分かった。


うるさい…とにかく喋り捲るんだ、この人。
学校にいる時は普通。喋るけど、マシンガントークじゃない。
でも、僕と一緒にいる時は本当に、よく喋る。
うるさいぐらいに。


「花ちゃん!何考えてんの!俺のこと考えてくれるのも嬉しいけど、俺は今目の前にいるでしょ!」
「…誰も、先輩のこと考えてるだなんて言ってませんよ…」
「まぁ!本当に最近ツンツンしちゃってーでもそこが可愛いんだよー」


何かに付けて可愛い可愛いって…。
僕、これでも男です、いやはじめから男です。
確かに見た目は華奢だし、身長だって…。

それに、一番嫌なのは、
先輩が『花ちゃん』って呼ぶこと。

ちゃん付けで呼ばれるのも恥ずかしいのに、
僕の名前をわざわざ『花ちゃん』って呼ぶのが、嫌。

それをいつも言ってるのに、一向に先輩は僕のことを『花ちゃん』と呼ぶ。


「先輩…いい加減その花ちゃんって言うのやめて下さい」
「えーいいじゃん!可愛いんだから!」
「俺は花ちゃんなんていう名前じゃありません!ちゃんとした名前が「花穂」

「えっ…」

「花穂、でしょ。勿論知ってる」


そう、僕の名前は『花穂』
男の癖に、どんなネーミングセンスなんだ両親!といつも思う。
こんな名前のせいで、小学生の頃からからかわれてきた。

僕が女の子だったら花穂なんて名前可愛いと思うけどさ。
僕は男だ。
これでも、男なんだよ。






ここから先はルートが二つあります。お好きな方にお進みください。両方ともほのぼの系です。

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