花穂A

でも、先輩が不意に僕の名前を呼んでくれて…。

やばい、なんか、顔がどんどん赤くなってくるのが分かる。恥ずかしい…。

「花穂?大丈夫?」
「だ、大丈夫です!」

あぁ先輩のかっこいい声で僕の名前を呼んでる。
やばいって、これやばいって。

どんどん先輩が僕に近づいてくる。
今、目の前まで来て、そして、耳元で、


「花穂」


あぁもう駄目だ。

もう、再起不能だよ。
ノックアウトだ。

「せ、せんぱい…」
「ん〜?…って!え、なんで泣いてるの?!そ、そんなに嫌だった!?ご、ごめんね」
「ち、違うんです…なんか嬉しいのと、先輩がかっこいのと、なんか、幸せで、でもびっくりして」
「花ちゃん…」
「またその呼び方「もう、なんでこの子はこんなに可愛いのー!持って帰る!てかもう一緒に暮らそう!」
「はいっ?!意味分かんないですよ先輩!ここ道ですから!近所の人に見られますから静かにしてください!」




「もう、花ちゃん、愛してるーー!!」




ご近所中に響いた先輩の声。

僕、明日からどんな顔してこの道通れと?

先輩の馬鹿。


まぁでも、今は『花ちゃん』でも、いいか。
今はね。


これから『花穂』って呼ばれても、泣かないように、ドキドキして顔が赤くならないように頑張ろう!


が、頑張ろう、僕!



END


ちなみに、「花穂」はカスイって読みます。



あきゅろす。
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