まったく☆
微…?ボコり愛!殴らないがなっ(キリッ
「くっ…は…」
常人より幾らか痛点の低い夜兎であっても、真ん中三本の指で気道を押さえ付けられれば息が出来なくなって苦しいに決まってる。阿伏兎の様な歴戦の夜兎もまた然りだ。
「あーあ、ダメだよ阿伏兎。動いたら間違って殺しちゃうだろ?」
そう言って神威は、阿伏兎の喉に添えた指先に力を加える。どんなに身体が鍛えられていてもどうにも出来ない皮膚は圧力に従い喉を潰しに掛かった。
先程から声にならない呻きを上げ、片手にだけ残る腕を神威の肩に当てて何とか引き剥がそうと力を入れていた手さえも息苦しさに宙を泳いだ。
「だん…ち、ょ…やめ…」
出来る限りの酸素を取り繕おうと喉はヒューヒューと悲鳴をあげる。何故こうなったのか、先程迄は第四師団の辰羅達を神威が肉片にしてしまった謝罪を兼ねて団長である華蛇と一言二言話し、納得を得た上で自室に戻って見ればこの様である。
待ち構えていた様に阿伏兎の腕を取った神威は、そのまま横にあるベッドに目もくれずに床へとその身体を押し倒したのだ。いきなりの事に油断していた自分を呪いたい阿伏兎だった。
「ヤだよ。息吸えないくらい大丈夫だろ?肺呼吸、肺呼吸」
「でき…っる、か!なんな…んだよ、アンタ…はっ」
「……ねぇ、阿伏兎。第四師団のババァ団長と話さないでって、前にも言っただろ?」
息苦しさに生理的な涙が濡らした頬を、顔を近付けた神威が舐め取る。その感触がキモチワルイのかキモチイイのかさえ分からない。
「それとも、俺にこうして欲しかったからワザととか?流石Mだね、阿伏兎」
「ち、が…アンタが、面倒起こす…から、…ぐぅ」
「謝るなら、お前じゃなくても平気だろ」
体制も手もそのままに阿伏兎の耳元へ顔を埋めた神威の声色には、端からみても感じとれる程の殺気が含まれていた。今すぐに人でも殺しそうな勢いだ。
「……今度から、あのババァに会いに行くときは俺も連れてって?」
可愛らしく首を傾げながら問い掛けた。
「また黙って行ったら……殺しちゃうぞ?」
漸く首から手を離した神威は、先程とは打って変わって労るように頬を撫でる。刹那、普段でさえ見せることも聞かせることもない素の殺気を垣間見た気がした。
まったく、恐ろしい独占欲
それでも焦がれるのは何故か。
(っ、は…あー、死んだらどーしてくれんだスットコドッコイ)
(あははっ、死なせないから大丈夫だよ)
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