Felis silvestris catus☆
変わらない船内、耳を澄ますと聞こえるグォングォンと言うエンジン音。珍しく夢すら見ないで熟睡出来たと言うのに、それでも目覚めは最悪だった。
何故か。言わずもがな、後方でニヤニヤとだらしなく口角を上げて笑う青年……神威と、頭に生えてきた猫耳の所為で逃げ回る事になってしまったからだろう。
「阿伏兎ー、もういい加減諦めなよー」
冷や汗まで流して船内を逃げ回る俺とは正反対に、爽やか過ぎて逆にウザい程の笑顔を張り付けて両手を広げ追いかけてくる神威の姿のなんと変質者な事か。
――なんなんだこの状況、なんなんだこの頭と尻にある筈のない耳と尻尾は!
「くそっ……寄るな来るな、何が悲しくてオッサンが半獣化しなきゃなんないんだ、こんのすっとこどっこい!」
「阿伏兎可愛いから、大丈夫だよ」
「大丈夫じゃねェ、可愛い言うな……っ!」
いつの間にか前方に回って来た身体に、思いっきりぶつかる。鼻が痛い、鼻血出たらどうしてくれる!
「団長、鼻は折れると厄介なんですがねェ?」
「ははっ、夜兎なら二日で直るだろ?」
痛いのは変わんないんだよ、コラ。
そう言おうとして開いた口は、ジト目で目の前の神威を睨む事に必死だった所為か気付かない内に伸ばされた手によって塞がれる。
「!…ン、ぁ…」
そして怯んだ隙にもう片手で尻尾の付け根を撫でられれば、身体に走る甘ったるい刺激と聞きたくもない声。
……まさか、ねェ。
「団長、まさか……」
「尻尾と耳は性感帯って、ありがちだよネ。まぁ嬉しいけどさ」
「こンの、すっとこどっこい!朝起きて半獣化してると思ったら次はコレなんて俺が不憫過ぎ…おい、団長…近っ、ぁ」
捲し立てる様に文句を言っている最中でさえ、ピクピクと揺れる猫耳に舌を這わせてくる。そのまま先端を甘噛みされ軽く吸われた。
「ちょ、…やめっ、く…ぅ」
「ねぇ、阿伏兎くん阿伏兎くん」
「なん、っ…ですかね、ェ」
「この猫耳と尻尾ってね、ヤらなきゃ治らないらしいんだよねー」
……はぃ?
「ほら、セーエキ掛けたら治るんだってさ。此処に書いてあるだろ?」
そういって取り扱い説明書と書かれた紙切れを眼前につきだされる。さらに上に目を遣ると、小さく媚薬と書かれ一度の性交でウンタラカンタラ…。
「……やっぱり、アンタの仕業か」
「あり、知らなかったの?」
……誰か目の前でケラケラ笑ってる上司を殴ってくれ。出来れば今すぐに!
「まぁ、早い話がヤれば全部丸く収まるってことで……いただきます」
「は?…ちょ、待て!此処を何処だと…」
「春雨第七師団の戦艦……の廊下でしょ?」
「分かって…ぁ…んなら、離れ…」
「ヤダ。いただきまーす!」
「まっ、ちょっ…だん……アーーーッ!」
Felis silvestris catus
(その先の出来事は二人しか知らない)
―――――――
ザ、ギャクテイスト
無しオチ無し意味無し/(^o^)\
題名は猫の学名らしいです(笑)
「おいおい……団長、オチ迄食べるなよ」
「え…コレ、オチだったの?」
オワレ。
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