ヨンファ、ユアン。シーフェス、ツェツィー。 「はい。」 「今、茶を「サメラ?」はい。」 二人掛けソファーに身を横たわらせながら、体を起こそうとしたら止められて、セシルが動いた。勝手知ったるよその部屋。というやつである。 「で、さっきの子とサメラの共通点は。」 「育った町の、生存者。」 「育った。って言うことは。」 そう、私とセシル達が初めて会ったあの町…。あそこの、生き残り。の子。だろう。そう判断できた理由は二つ。村のしきたりと少年が呼んだ名前だ。 指を二つ立てれば、セシルがきょとりとサメラの指を見つめた。どういう事だ、と、眺めてもいる。 首を傾げそうな片割れを見て、サメラが言葉を選びながら話を続けた。 私が育った町では、12を越えるまでキチンとした名前を持たない。というのにも理由があってな。真名を持つことにより山の神に呼ばれ、帰らずの者になるという迷信からだ。だから、私はあの村で、様々な名前を持ち生きた。 「ヨンファ、ユアン。シーフェス、ツェツィー。それからサメラ」 関連もない名前で私はずっと呼ばれていた。彼はその内の二つを呼んだ。出どころはここでいいと思う。 [*前へ][次へ#] |