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005


  
 
 ―保健室―
 

 どうやら今のジランダは不安定の時期に入っているみたいなんだ。
 
 
 「不安定? どういうことだ」うーん、なんていうのかな、ジランダ自身、心の調和が取れていないんだ。

 「ジランダの心が?」ドラゴンも人間と同じように理性があって感情がある。ジランダは何か悩んでるんじゃないかな。僕自身、ただただジランダが思い悩んでいるから、君達の【マカ】が不安定だと思っていたんだけど…、僕の予想を上回るアンバランス。
 
 ドラゴンが主人の【マナ】を受け止め切れないってよっぽどのことなんだ。
 よっぽどドラゴンが不調なのか、それともよっぽど相性が悪いかのどちらか。君達の場合は前者だろうけれど、ベルトルくん、ジランダに何かあったんじゃ。「いや、普段どおりだと思う」そっか、それは困ったなぁ。


 とにかく、此処でジランダを診ておくように。

 僕は薬を調合してくるから、ついでに一旦教室にも戻る。何かあったら、保険医に言ってね。
 


  
 微睡む意識の中、ジランダは主人と担任の会話に耳を傾けていた。

 そして申し訳ないような、惨めな気持ちに駆られ、知らず知らず身を丸くする。頭上から溜息が聞こえ、身を強張らせた。狸寝入りをしつつ、片目を開けて状況を確認。憮然と腕を組んでスツールに腰掛けている主人の姿がそこにはあった。



 ジランダは目を閉じて、心中で涙を呑む。
 
  

 失望させてしまった。それだけはしたくなったのに…、嗚呼、折角、自分に手を差し伸べ、「必要だ」と選んでくれた主人に申し訳ない。
 主人はクラスで誰よりも魔法技術が高く、自分はそれに見合うドラゴンでなければいけないのに。ただでさえラージャに魔力で負けている。魔力以外で見合うよう努めなければならないのに、努力は霧散するばかり。
  
 いっそのこと消えてしまいたい。

 ジランダはくすんと鼻を啜り、自分の体に顔を埋めた。「ジランダ?」目を覚ましたのか、声を掛けてくれる主人には申し訳ないけれども、聞き流して寝たふりを続けさせてもらう。今の自分には合わす顔もないのだから。

 
 ―…次の演習はヘマをしないよう、努めよう。
 
 嗚呼、でももしもまた自爆して失態を犯してしまったら。畏怖の念が体内の隅々まで支配していった。
 




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あきゅろす。
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