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劣等生同士


  
 *
 

 あくる日の演習状況。
 

 アルス・ラージャペアは相変わらずフルパワーを出し尽くすため、【マカ】は最大三発しか放てず(アルスは三発でノックダウン!)。

 バランス型のフォルック・ナーガペアは配分を考え、限界の限り【マカ】を放つことに成功。現在のところ15発以上は体力の関係で撃つことができない。

 そしてベルトル・ジランダペアは【マカ】さえ撃てず、なんと【マナ】さえ送れぬ状況に陥っていた。ベルトルが【マナ】を送ろうとするところまでは良いのだが、受け取ろうとしたジランダが無意識の内に身構えてしまい、長い尾で【マナ】を払って拒絶してしまう始末。

 ジランダ自身もそのつもりはないのだが、【マナ】がくると思った途端自己防衛が働き、人間の魔力から逃げてしまうのだ。
 ある種、アルスがラージャに【マナ】を送れなかった状況と同じ事態。

 『申し訳ございません』シュンっと落ち込むジランダに、ベルトルは構わないと素っ気無く返すだけ。
 ベルトル自身、自爆がトラウマになっているだけだと考えていた。三日もすれば回復するだろう、そう考えていたのだが、読みは外れてしまう。
 


 三日経っても、四日経っても、一週間経っても、状況は変わらなかったのだ。



 さすがのベルトルも苛立ちを見せ始め、ジランダはますます肩身を狭くし、ギュナッシュはどうしたものかと腕を組み。このペアのおかげさまで、すっかりドラゴン使いクラスの空気は濁ってしまっていた。

 最初の内は傍観者に回っていたアルスとフォルックだったが、優等生の事態に放っておける事態ではないと心中で思い始めていた。
 だがしかし、ベルトルは山よりも雲よりもプライドが高い男。そう簡単に自分達の言葉なんぞ耳を貸さないだろう。というか、口を出した瞬間、癇癪を起こすに違いない。そして犬猿の仲にあるアルスと別の意味でクラスの空気が濁る。
 

(だからって放っておくこともなー。なんかあいつを見てると、1ヶ月前の俺を見てるようで)
 
 
 昼食時間、アルスはラージャやフォルック達と食事を堪能しながら物思いに耽っていた。
 このまま野放しにしておけば、事態はもっと悪化するに違いないだろう。


 それにこの男がなぁ…。


 アルスはチラッと教室の窓辺で弁当を広げているクラスメートに目を向け、溜息。こいつ、腰がめちゃくそ重そうだ。ジランダもさぞ、こいつのパートナーだと気が思い遣られるに…、おや? アルスはベルトルに席を見つめ、首を傾げる。

 ベルトルといつも一緒にいるジランダの姿が見えない。いつもだったら昼食を一緒に取って…、ン、あのペア、一緒に昼食を取っていたっけ?




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