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「番犬で追い立てて、主の元に追い込ませて…狩りのつもりか。」


真っ直ぐに睨み付け、糾弾しても、余裕の表情は崩れない。


愉しげに、嘲笑うばかりだ。


「…勝手に抜け出した黒猫を、捕まえるのは当然の事だろ?」


ネズミから猫に格上げ(?)されたようだが、全く嬉しくない。


ストッ


給水タンクの上から、ヒラリと降りてきた男は、ゆっくりとした足取りで、こちらに近付いてくる。


「アンタの許可をとれ、と?」


確かにオレは、寮を抜け出して此処にいる。
…だが、この男が言っているのは、そういう事じゃないだろう。


「そうだ。」


その返答に、オレは舌打ちをする。


「馬鹿馬鹿しい。…許可する気なんて、ゼロのくせに。」


オレがそう吐き捨てると、男は愉しそうな笑い声をあげた。


「よく分かっているな。」


考えるまでも無い。

この男が、オレを黒さんの元へ帰す筈がない。
それ位なら、壊す方を選ぶだろう。


ソレを男は、戯れに『愛』と呼ぶが―――。


そんなものは愛ではない。


ソレは、ただの所有欲、だ。


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