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6


最低最悪の暴君。




―――嗚呼。

なのに何故、オレはこんな碌でもない男に捕まってしまったのか。
…あらゆる意味で。


ガシャン!


オレを囲い込むように、男はオレの両脇の金網に手をかける。


至近距離で、人ならぬ者のような美貌が、妖しい笑みを浮かべた。


「もう、アイツの元には帰れない……お前もわかってんだろ…?」


スルリ、と大きな手が、項と首筋を撫でる。


「獣に汚されたお前は、もう龍の居る場所には帰れない。…帰さない。」


「………。」


言われずとも、理解している。


―――だがそれは、後ろめたさや、卑下する気持ちからではない。


自分の意志で、この男を選んだからだ。


獣に為す術なく蹂躙されたワケじゃなくて、


―――オレは自ら、その牙に己を差し出したんだ。


なんて、愚かなオレ。


そんな簡単な事も分からない男なんかに。


―――何故、捉われた。


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あきゅろす。
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