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「…………。」
暫くの間、電柱にしがみ付く蝉みたいに西崎にへばりついていたが、引き剥がされる事無く、その間ずっと西崎は、オレを宥めるように頭を撫でてくれていた。
「………。」
暖かい手と、穏やかなトーンの声に、ゆっくりとだけど、オレの頭は冷静さを取り戻してくる。
…途端、なんか恥ずかしくなってきた。
いつも素っ気ない分を取り返すように甘やかしてくれる西崎と、それに甘えてしまっている自分の図が、結構いたたまれない。
「……に、…!?」
西崎もういいよ、と声をかけようとしたが、オレは後ろからのしかかってきた重みに、目を剥く。
何事。
「……誰か忘れてねぇか。」
オレの耳のすぐ傍で、低い声が不機嫌そうに、そう呟いた。
オレを志藤家まで迎えにきてくれた武藤は、学園につくとオレを降ろし、何処かにバイクを隠しに行った。
いつの間にか戻ってきたらしいが、全く気が付かなくてゴメン。
……つか、忘れてなんかないよ。
ほんのちょっとしか←
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