[携帯モード] [URL送信]

Main
4


「…………。」


暫くの間、電柱にしがみ付く蝉みたいに西崎にへばりついていたが、引き剥がされる事無く、その間ずっと西崎は、オレを宥めるように頭を撫でてくれていた。


「………。」


暖かい手と、穏やかなトーンの声に、ゆっくりとだけど、オレの頭は冷静さを取り戻してくる。


…途端、なんか恥ずかしくなってきた。


いつも素っ気ない分を取り返すように甘やかしてくれる西崎と、それに甘えてしまっている自分の図が、結構いたたまれない。


「……に、…!?」


西崎もういいよ、と声をかけようとしたが、オレは後ろからのしかかってきた重みに、目を剥く。


何事。


「……誰か忘れてねぇか。」


オレの耳のすぐ傍で、低い声が不機嫌そうに、そう呟いた。


オレを志藤家まで迎えにきてくれた武藤は、学園につくとオレを降ろし、何処かにバイクを隠しに行った。


いつの間にか戻ってきたらしいが、全く気が付かなくてゴメン。

……つか、忘れてなんかないよ。
ほんのちょっとしか←


.

[*前へ][次へ#]

5/116ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!