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「…え?」
西崎は、怒ったような声じゃなくて、
まるで子供をあやすような優しい、暖かい声で、ただオレを案じてくれる。
「『ごめんなさい、ハルちゃん!』」
「え、」
オレが言ういつものセリフを、西崎がからかうように言う。
でも苦笑混じりのその声は、思いの外真剣で、オレへの気遣いに溢れていた。
「…開口一番に、いつもそう言うお前が、黙りこくるような事態があったんだろう?」
「…っ、」
「…大丈夫だ。大丈夫…凛。……ゆっくりでいいから、話してくれ。」
「……っ!」
オレは、さっきまでの恐怖で凍り付いたように強ばったままだった指を開き、ぎゅっと西崎にしがみ付いた。
「……ハル、ちゃんっ…」
「うん?」
「……ど、しよ……っ、見つかった…!」
「…そうか。」
「どうしよ…っ、」
混乱したまま、どうしよう、どうしよう。と繰り返すオレに、
西崎は根気強く、大丈夫だ、と何度も言い聞かせ、背中をさすり続けてくれた。
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