こねことおおかみ/完結
3
「進路希望調査ー?」
前髪をかき上げつつ、もう一方の手中にある用紙を見ながら眠たそうにあくび交じりの声で亮平が声を上げる。
クラスメイトもその紙を見ながらざわざわと騒いでいた。
「そういうこった。お前らも4月がくれば2年なんだ。ほんの1年も経てば最終学年だってことを自覚しろよ。こうしてきゃんきゃん騒いでられるのも、仲良し1−Cでいられるのも残りの3週間くらいで終わるんだからな」
いつになく真剣な武下の言葉に皆用紙を眺めていた。
「やっべーどうしよう・・・」
「俺は進学だからな〜」
「お前はバスケの推薦狙ってるんだろ?」
なんだかんだで一応先のことを考えていたのか、一人、また一人とそれぞれの予定を口にする。
「まぁ提出は今月中だからな。大体の予定とか目標、夢とかそういうことでもかまわねぇからよ。
とにかくちゃんと考えておけよ」
ほんじゃまた明日ー。といつもと変わらぬ退場をした武下(with都)に、ぞろぞろと教室を後にしていくクラスメイト。
「むーくん、またみゃーこさんが誘拐されたよ」
「・・・武下も都が恋人代わりなんだろ。寂しいやつだな」←オイ
「そうか、・・・・・そうだね」←オイ
なにやら酷い会話をするカップルは、今夜のメニューを話し合いながら仲良く手を繋いで家路につく。
仲睦まじいその様子を見届けて、ほぼ空のカバンを手に亮平は腰を上げる。
「かおるちゃん帰ろ〜」
「・・・・・・・・」
授業中見飽きるほど見つめている後頭部に話しかけるが反応が返ってこない。
「・・・・・・・かおるちゃん?」
もうほとんど空になった教室で、座ったままの馨の頭にぽんっと手を置いてもう一度声をかけると、びくっと反応して急いで帰り支度を始めた。
「どうかした〜?」
「え?いや、別にどうもしねぇよ。ほら、帰るぞー」
「・・・・・・ほ〜い」
嫌がる馨にひたすら亮平がちょっかいをかけながら帰る様子も、ただのバカップルだと声を大に叫びたい棗田くんである。
<*わんにゃん#>
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