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『今回の件は、正直なところタークス内でのみの緊急事態として扱われている』

「うん?」

『大事にならない限りは、会社のほうに情報が流れることはない』

「…それって」

『つまり、ナマエの失踪が未遂に終われば…今回の事態については一切を、なかったことにすることができる。ということだ』

「!!」


それは、タークスなりの配慮なのか。
ザックスはそれによって、幾分か気分が楽になったような気がした。


「…サンキュー。んじゃ、即行でナマエを連れて帰ってくる!」

『あぁ、頼んだ』


ピッ


携帯端末をポケットにしまい、ザックスは五番街魔洸炉へ急いだ。























「…。」


久々に来た、この場所。

ナマエは五番街魔洸炉の中を、悠然と歩いていた。

此処で初めて、兄達の身に施された非人道的な研究内容の全貌を知らされた。

この時からだ…私の中で、何かが疼きだしたのは



「今なら少しは分かるかもしれないね、あの時の兄さんの気持ち…」



正義と信じたこの組織の自分への裏切り

この組織に正義なんて、もとから有りはしないのに


ソルジャーの名の下に、殺戮の道具として使われて…



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