ページ:5 『今回の件は、正直なところタークス内でのみの緊急事態として扱われている』 「うん?」 『大事にならない限りは、会社のほうに情報が流れることはない』 「…それって」 『つまり、ナマエの失踪が未遂に終われば…今回の事態については一切を、なかったことにすることができる。ということだ』 「!!」 それは、タークスなりの配慮なのか。 ザックスはそれによって、幾分か気分が楽になったような気がした。 「…サンキュー。んじゃ、即行でナマエを連れて帰ってくる!」 『あぁ、頼んだ』 ピッ 携帯端末をポケットにしまい、ザックスは五番街魔洸炉へ急いだ。 「…。」 久々に来た、この場所。 ナマエは五番街魔洸炉の中を、悠然と歩いていた。 此処で初めて、兄達の身に施された非人道的な研究内容の全貌を知らされた。 この時からだ…私の中で、何かが疼きだしたのは 「今なら少しは分かるかもしれないね、あの時の兄さんの気持ち…」 正義と信じたこの組織の自分への裏切り この組織に正義なんて、もとから有りはしないのに ソルジャーの名の下に、殺戮の道具として使われて… [*前へ][次へ#] [戻る] |