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俺の大好きな君へ 2


幼い頃からのマフィアとしての教育や生活、息を抜く場所があるのかと、心配した時は山ほどある。

その教育の賜物は綱吉を護る先程の行動に滲み出ていた。
綱吉を庇う小さな背中が、いつもより大きく見えた。そしてしっかりと背中に護られたその安心感。

改めてランチを口に運びながら、思っていた疑問を口にする。

「ね、今の子たちどこで知り合ったの?」

どこかのファミリーに属する者には見えなかった。

「学校です」

ああなるほど…確かリボーンが言ってたなあ。
いくらマフィアと言えども、今は教養も必要で、右腕と言われる程なら尚更で、学校にはしっかり通わされているらしい。


「隼人はどんな音楽を聞いたりするのかな」

するりと片手に持ったディスクを抜き取ると、パッケージを眺めた…が、いまいちわからない。

「年代のせいなのかな…わかんないっ悔しいなあ」

本気で悔しがる俺を見て、少しだけ隼人が笑った。
俺は思わずハンバーガーを取り落としそうなくらいびっくりして君を見てしまった。

「俺だって笑ったりはしますよ十代目…」

心外だといいたげな瞳。

「だって隼人はさあ、俺の前じゃ、いつも畏まったりして感情を表に出してくれないだろ」

「それは…」

「それは?」

一瞬躊躇するその後を一言一句聞き漏らさないよう、耳を傾ける。

「こんな俺をファミリーに加えて下さった…尊敬する十代目の前で、あまり餓鬼みたいな事したくなかったんで…」

ほかのボンゴレ幹部の山本や、雲雀、笹川たちが余りに格好良く彼には写っていたらしく、生来の気質も加わって作りあげられたポーカーフェイス…だったようだ。
ぽつりぽつりと自分の事を話す君を愛しく思う。

「俺はね、隼人。さっき俺を護ろうとしてくれた君の背中、すごい頼もしく思えたよ。山本や雲雀さんにも負けてない程。」

隼人の手を握ると優しく微笑む。

「君の手はこんなにもしっかりしてる。たくさん鍛錬を積んだんだね…傷だらけだ…」

だからこそ、君の少ない日常を俺は守りたい。
ほんの僅か友人たちと接していた時の君の顔。
そんな顔をさせてあげられる彼らに、少しだけ嫉妬した。俺も同い年ならあんな風に笑ったり喧嘩したりできただろうか。
考えても仕方ない事なのだけど…。

「十代目…」

「君はまだたくさんの可能性があるんだ…学校も友人も、君を形作る全てに俺は感謝したい気持ちだよ」

ゆっくりと見開かれるサファイアの瞳を見ながら優しく微笑む。


本当に心からそう思うんだよ隼人…。

これから先どれだけ君が、その真っ直ぐな瞳が、歪められてしまう事が起こるかも知れない。

でも全身で俺を慕ってくれている君を俺は必ず護るから、どうか君は何にも染まらずにそのままでいて欲しい。

そしてまた…一緒にここに来よう。




君がその年相応な笑顔を見せてくれるなら、俺は何だって出来るから。



そしていつか


君がもう少し大きくなったら、この気持ちをちゃんと伝えようかな。だからそれまで焦らずに成長して行って欲しい。


君が大好きだから。












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