04
学校に着けば、登校してきた生徒の視線ほとんどを集めるのがこの二人。
美男カップルだし。
付き合ってる事はあんまり知られてないけど、個人的にファンが多い。
いつだったか、ファンクラブもあるとかないとか、そんな話しをしたときに。
お前にもあるよ、なんて言われた事があった。
興味ないんだけど。
名門、私立南ヶ丘高校は四階建てのデカイ校舎。
広々とした校庭に沿って、コの字に建っていて。馬鹿デカイ体育館と、その近くに二階建ての格技棟がある。
コの字の曲がり角を仕切に、二階から渡り廊下で一棟から三棟まで。
一階には、保健室、視聴覚室、全校生徒が入る講堂、資料室、コンビニみたいな広い売店など。
二階からは、一棟と二棟に一年全部に職員室、三棟に美術室、音楽室、化学実験室。
三階で二年全部と三年生全部が収まる。
四階には、生徒会室、図書室、第二資料室、放送室などなど。
理事長室、校長室は別棟、それに加えて管理棟まである。
校舎自体が余裕ありすぎるくらい広いから、ぶっちゃけ全部の教室を知るのは至難。
ちなみに屋上に生徒が出入り出来るのは、二棟だけ。
一棟は色々と学校の細かい主に電気設備が格納されてるから、出入り禁止。
三棟はプールだから、授業と部活以外は使用禁止。
各棟ごとに渡り廊下で間があるし、各屋上がフェンスで囲われてて、屋上で一棟から三棟までの移動は無理。
だから校舎の見た目は変な感じ。
2-Aの教室に入って、一番奥。
窓際の後ろから二番目が俺の席。
その隣、少し開けて伊織、俺の前が多貴っつーベストポジション。
まあ、多貴と伊織っていう美男がいるこの場所は、近寄る生徒は滅多にいないがその分がっつり視線がくるんだけど。
さすがに慣れたから気にならなくなった。
「はー…一限目ってなんだっけ」
イスに座って、天井を見上げるように軽くのけ反った多貴が唸るように言えば。
「現代文学だよ」
「だっるぅ」
「多貴はもう少しと言わず、かなり現文を学ぶべきだよ」
「…へーい」
「多貴、現文一番苦手だしな。日本人のくせに」
「現文より国語だろ!…つうか諒ちん、追い撃ち上手くなってね?」
「気のせい」
いつも横向きに座る多貴と、体制は真っ直ぐ前向きな俺と伊織がいつものスタイルだったりする。
授業聞いて点数取れば、あんまりうるさくないからね。
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