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03
 


「おっはー、諒ちん」
「おはよう、諒」
「おーはーよー」


 学校に向かう、いわゆる通学路の途中で自然合流する、幼なじみカップル。
 二人は近所だから一緒に来る。
 別に俺の家と遠いわけじゃねぇけど。


 見た目は正反対な二人。

 多貴は、いわゆるチャラ男みたいな、でも容姿は上の上。美形ってやつ。
 ライトブラウンの髪に、茶色目。
 どっかのメンズ雑誌に載ってそうな、今時なヘアスタイル。
 でも中身は超一途。恋人、つか伊織第一みたいな。


 その伊織は、いわゆる和風美人。いや男だけど。
 ぱっと見、初対面じゃあ確実に女に見える。
 綺麗な色白で目が大きい。華奢だし、黒髪ストレートのサイドだけ長めの髪。でかい黒目。言わずもがな和服が似合う。
 見た目とか普段はおしとやかなんだけど、まあ、あれだ。
 腹黒いっていう言葉が、ここまで似合う人間も中々いないよな。
 キレたらマジ怖い。一途だけど。伊織も、恋人の多貴第一だから。


「ねみー」
「ゲームやりすぎ。ゲーム馬鹿」


 おおう、辛辣。

 欠伸をしながら言う多貴の一言に馬鹿で返した伊織。
 まあ、多貴は慣れてるから変わりない。


 中学から付き合ってる二人は、やっぱ今までも苦労してきた。
 一緒にいれて幸せ、ってだけじゃない。同性ってだけで障害は倍になる。今もあるはずだ。
 だから別れかけたこともあった。
 でもそこで、俺の従姉の夏樹さんに救われて、前向きになって。

 今じゃ、日に日に増してんじゃね?ってくらいラブラブだ。
 俺はそれが心から嬉しいし、俺自信も幸せな気持ちになる。
 ほんと、いろいろあるけど。


「───幸せだ」


 笑える事が。二人と一緒に笑える事が。
 こうして過ごせる事が、幸せだ。


 何気なく呟いた言葉が聞こえたらしくて。急に俺を真ん中にして引っ付いて戯れてきた二人。

 嬉しくて仕方ないっつーのは、三人一緒なんだって。
 余計嬉しくなった。


 


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あきゅろす。
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