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03
 


「姫サマゲットー」
「っ、バカ」
「あー…」



 咄嗟に振り返って若干焦りを見せた瀬戸だが、俺の表情を見たら何故か呆れた顔をした。それ失礼じゃね?
 瀬戸の方は既にあと残り二人で、その二人ももう退かされた。あとは俺の方にいる三人のみ。三人寄れば文殊の知恵ってか。無理だろ。



「オレさぁ、あの時姫サマを頂けなかったのちょーっと心残りだったんだよなぁ」
「イイ顔してるからイケそうだよな」



 …なにこいつら同性イケるのか。ホモか。どこもかしこもか。大丈夫か現代高校生。
 思いきり自分を棚に上げたが、周りが相思相愛ばかりなので気にならなかった。でもなんかさ、接点がないのに喧嘩売ってくる不良までこうだと思わざるを得ないだろ。

 とりあえず現状理解を改めよう。腕は取られている。足は自由。後ろはひとり、前はふたり。瀬戸はただ見てるだけ。邪魔にならないようにだろうけど、本当にヤバくなったらまず間違いなく余裕で助けてくれる。
 過去、慧先輩が主に教えてくれたのは、タイマンではなく複数対ひとりの対応方法である。後ろを取られ捕まった場合、前に複数後ろに単体が殆どと言って良い。
 捕まえた事で油断する可能性が大半、単体で苦戦しないなら、現状打破は可能である。



『───そうだなぁ、まず、後ろにいる奴は大概両手で捕まえておくし、逃げないようにガタイがいい奴が適任になるだろうし力も込めてるから、壁として考えた方が良いね』



 鬼畜な実践で教え込まれたのでイメージしやすい。
 多少寄りかかっても後ろはピクリともしない事を確認して、前に狙いを定めた。



『壁になると分かったら、前方をギリギリまで引き付ける。横に並んで立ったら、必ず左からやること』



 ニヤニヤしている二人が近付いて、射程距離に入ったら、まず右足を左側へと流してから脇腹目掛けて思いきり強打させる。

 気持ちよく脇腹にヒットしたため、一瞬で呻いたひとりが俺から見て右に流れ、その勢いのまま隣の輩も巻き込んで壁にぶつかった。
 足で攻撃する際に後ろへ体重を掛けたが、咄嗟なのかいい感じに支えてくれて上手く体が浮いた。



「えっ」



 後ろでなんか聞こえたけど無視をして、着地した勢いに乗ってしゃがみこむと、後ろが前のめりになり、図ったように瀬戸が後ろの奴の胸ぐらを掴んで引き剥がしてくれた。



 


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あきゅろす。
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