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05
 


「───ありがとうございました」
「いえ、こちらこそ。気をつけて帰ってね、仁科くん」


 あれからスイーツを堪能した後、気さくな従業員さん達と喋ってたらいつの間にか外が暗くなってて。


 夏樹さんからメールが来たから帰ることに。


 また来ても良いか、と聞いたら、いつでもって言ってくれたから嬉しくて思わず自己紹介した。
 そしたら、びっくりしてたけど従業員さん達も自己紹介してくれて。


 お礼を言って、店を出た。
 次はちゃんと何かしら頼んでお金払お。



「いいとこ見つけちったな」


 気分が良い。
 十七年ここらへんにいるけど、ああいう店あったんだな。
 こんな場所じゃ分かんねぇからかもしんねぇけど。


「ただいま」
「おかえりー」


 上機嫌のまま帰れば、リビングで夏樹さんがテレビ見てた。


「なんか機嫌良いね」
「ん?…あー、ちょっとね」
「なによ、言えないの?」
「後でなー。着替えて来る」


 ちゃんと話せよー、なんて声を聞きながら二階の自室に入る。
 明日、伊織と多貴にも話そうかな。
 今度三人で行きたい。あの店の雰囲気は好きだ。従業員は個性的だけど、いい人だし。


 部屋着に着替えてリビングに戻って、用意してくれてた夕ご飯食べながら、学校帰りに見つけた不思議な店の話しをした。


「…へぇー、イケメン揃いか」
「狙ってんの…?」


 ふむふむ言ってるけど、行く気かこの人。
 まあ、良いんだけど。


「つか夏樹さん彼氏いるじゃん」
「それはそれ」
「………」


 なんだそりゃ。


「あのね、美形は至宝なの」
「……は?」


 いきなり何を言い出すのかと思えば、なぜか真面目な顔をしてる夏樹さん。


「伊織くんも多貴くんも至宝なのよ。ちなみにあんたもね」
「……はぁ?」


 いや、伊織も多貴も分かるけど、なんで俺がそこに入るんだ。


「あぁ、そっか。あんた無自覚だった。気にしないでね」


 にっこり、と綺麗な笑顔の夏樹さん。
 なんかよく分かんねぇけど、気にするなってなら気にしねぇのが俺だから。


「ふうん……。まぁ、いいけど」


 ごちそうさまをして、食器を片しに流しへ向かう。


「……無自覚だと相手は苦労するのよね」


 なんて呟いてる夏樹の声が聞こえるはずもなく。


 


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