唐突過ぎて展開が読めません。‐01
「……ん、」
ぼんやりと視界に入るのは、黒。
嫌に暗い。それに空気も冷たいし。それが第一印象っつか、感覚っつーか。
自分が横たわっている事に気付いて、起き上がろうと腕に力を込めた。
「……」
動けない。腕が後ろに回っている。何かに縛られてるような感じもする。
……、縛られてる…?
そして、じわじわくる嫌な予感を決定的にしたのは。
「───…っ」
ズキッと痛んだ、後頭部。
いやまさか。こんな王道的な?
有り得ない、有り得えな……くないのが今のこの状況が証明してんだよな。
起き上がれずにただ身をよじる事しか出来ず、はっきりとした視界には、打ち捨てられたような鉄の塊が転がっている。
埃っぽいし。
……使われてない工場か?
しん、としてて冷たい空気の中、コンクリートの地面に寝かされてる状態っぽい。
体の下に布らしいものが敷いてあるものの、面の冷たさは殆ど直に感じる。
───マジか。
頭痛とは違う痛みを感じながら、じっくりと考えを巡らせてみる。
朝、いつも通りに家を出た。
夏樹さんは早くから会議らしくて、起きたら居なかった。
つか、もう一緒に暮らしてるみたいじゃね?
当たり前にこっち居るんだから、アパート解約すりゃいいんだよあの人。絶対家賃の無駄だと思うんだけど。
…って、違う違う。
家を出て、多貴と伊織と合流する場所まで目の先になった時だ。
確か。そう、そこから二人に会った記憶がないんだ。
後頭部が痛いってことは、殴られたんだよな。
いやちょい待ち。俺もしかして流血した?
鉄パイプかバットか。
変に記憶ぶっ飛んでたらどうしてくれんだよ。素手っつったって、そんなプロ的な事出来るような奴らに狙われる覚えねぇぞ。
あー…なんかイラッイラしてきた。
とりあえずそっから記憶ないわけだし、どうやってここまで運んだのか。
夜中ならまだしも、朝だし人通りだってまったくないわけじゃない。
車なんだろうが…。
分かんねぇな。ムカムカする。
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