きっと夏祭りの雰囲気のせいだ。‐01 時間に余裕がありすぎて、夏樹さんに髪を弄られ浴衣を着て持ち物確認して。 鍵おっけー、携帯おっけー、財布おっけー。よし。 ちなみに浴衣を来た夏樹さんは、見惚れるくらい綺麗でした。シンプルなお団子が好印象です。 下駄は去年、浴衣と一緒に届いたやつがあるのでそれにする。 今年初の志乃さん製浴衣を貰った瀬戸と幸丸には、昨日下駄も一緒に渡されてた。 駅前には、夏祭りに行くのか浴衣姿の人が結構いて。主に女の子だけど。 言わずもがな待ち合わせの駅前で一部、他と違う空気が漂っていて思わず苦笑した。浴衣姿はまた雰囲気変わるしねー。 カラコロと下駄を鳴らして待ち合わせ場所に近づくと、なぜか人が一方的に避けてガン見される。 なに。なんか変なの。一応鏡で確認したし夏樹さんからのオッケーも貰ってんだけどどっか変なの。 ちょっと不安になりながらも、先に着いて注目の的になっている人物へ向かうと、そこに居たのは意外にも瀬戸だった。 白地に赤龍のインパクト大な浴衣を着こなし左右の袖に手を入れ、黒髪を弄った、見方を間違えたらそっち系の危ない人になる、不良擬き。 「せーとー、早いな」 「あ?、……あぁ」 片手を上げて声を掛けたら一瞬睨まれたが、俺だと分かった瀬戸は一度、上から下まで俺を見て何故か顔をそらした。 「え、なに。やっぱどっかヘン?」 「は、いや、べつに。似合ってんじゃね」 「適当だな。…お前はよく合ってるぞ。さすが多貴のお祖母ちゃんだな」 「……そりゃどーも」 袖に手を入れてんのもまた相乗だな。 「ふっつーに格好いいなお前、なんかムカツク」 「なんだそりゃ」 呆れ顔ながらちょっと笑われ、近くにいた女の子集団から「きゃあ!」と嬉しそうな声が聞こえた。 声掛けたいけど雰囲気が…みたいな感じなのかな。寄っては来ない。 瀬戸の隣に立って周りを見渡していると、俺が来た方向に変な人だかりが。 「……あ、来たな」 「なんで分かんだよ」 大体の予想で言うと、瀬戸が怪訝そうに言ってきたから視線を促すと、納得したような声を出した。 浴衣で雰囲気の変わった、というかイケメンさが増した三人が目に入る。 鉢合わせたらしい、多貴、伊織、幸丸が話しながら向かってきた。 いやー、目立つねあの三人。 [*][#] [戻る] |