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02
 

「なんかそっち系の人がいるっすやべぇっす」
「喧嘩売ってんのかテメェ」
「よくお似合いですなぁお二人さーん」
「瀬戸くん早いね。一緒に来たの?」


 そうだね幸丸。俺もそう思ったよ。
 近くまで来た三人に挨拶がてら手をあげると、いい笑顔が返ってきた。
 


「瀬戸が最初に着いてたんだよ」


 伊織にそう返せば、意味ありげに「ふうん」と言った。確かに最後に来るイメージだけどさ。


「んじゃー、だらだら行くかー」


 瀬戸同様に袖に手を入れた多貴が、カコン、と下駄を鳴らして足を踏み出した。
 それに続いて五人で歩き出すと、視線やら女子集団やらが若干同時に歩き出す。目的地は一緒なんだろうけど、なんか大規模な団体みたいに見えるからやめてほしい。


「花火は7時くらいからだから、屋台ゆっくり回ろうか」
「さんせーい!」


 伊織の言葉にいち早く挙手したら何か笑われたんだけど。バカにした感じじゃないからべつに気にしないけどさ。

 とりあえず、三人共に浴衣がよく似合っていてイケメン具合が割り増ししとる。
 多貴と伊織なんて色気が凄いよ。
 幸丸は普段の元気さが落ち着いて見える。志乃さんマジックだ。恐るべし。


 神社は駅から少し歩いた所にあって、近付くにつれて賑わいも大きくなっていく。
 私服と浴衣が五分五分くらいで、お祭りだなぁ、なんて思う。

 小さい子の浴衣や甚平が可愛いよ。


「とりあえず腹拵えだ!」
「いいっすね!」


 よっしゃー、と幸丸と二人で拳を上げてみた。幼馴染みには子供を持つ親の微笑みを受けたけど気にしない。


「やっぱ、屋台っつったら焼きそばっすよね」
「おう、幸丸分かってんね」


 屋台の焼きそばなんて市販の材料使ってるのに何か違うんだよな。屋台の焼きそばはまた別格だ。
 お好み焼きも、たこ焼きも、かき氷も、その他諸々何でか屋台ってだけで味が変わる。屋台の味。
 値段は自分で作った方が安上がりなんだけど、気にならなくなるお祭りマジックだ。夏は志乃さんとお祭りの魔法で色々気分が変わるから凄いよ。





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