03
───浴衣が届いた、翌日。夏祭り当日。
ワクワクで寝れない、なんてことはなくいつも通りに眠気に身を任せていつもよりゆっくりした時間に起きた。ら。
「おはよー、諒」
「……おはよ。居たんだ」
寝癖もそのままにリビングに行ったら従姉がいました。
珈琲の匂いがする。
「カフェオレで飲む?」
「うん」
ソファに身を沈めて言えば、夏樹さんがグラスにカフェオレを作って持って来てくれて、礼を言って受けとる。
牛乳たっぷりの甘いカフェオレが沁みわたるー。
「あ、そうだ」
「ん?」
隣に座ってテレビを見ていた夏樹さんを見て思い出す。
「昨日、多貴のお祖母ちゃんが作ってくれた浴衣貰ったんだけど、夏樹さんのも貰ったんだよね」
「やったー!待ってた!」
毎年、俺だけじゃなく夏樹さんの分まで作ってくれる多貴のお祖母ちゃんには感謝し切れないよ本当。
部屋に置いてた紙袋を取りに行って、リビングに戻り手渡すと早速浴衣を取り出した夏樹さん。嬉しそう。
「わ、きれい!さすが志乃ばあちゃん!」
夏樹さんへの浴衣は、大人っぽい黒地で大きく菖蒲が咲いている。
多貴のお祖母ちゃんを小さい頃から知っている夏樹さんは、志乃さんを志乃ばあちゃんと呼ぶ。
駿河志乃さんは多貴の母方のお祖母ちゃんなので、多貴母の旧姓は駿河だ。
多貴は駿河姓でも名前すら格好いいとかなんなのアイツまじイケメン。
「てか夏祭り行くの?」
「そりゃ行くわよ」
「新たな彼氏か」
「まだ男友達」
「まだかよ」
「なんか気があるらしいけど、はっきり言われてないのよ」
「へえ、がんばれ」
「どっちが?」
「男友達」
「ふはっ」
ま、そりゃそうね、と納得したように笑った夏樹さんは、家から着替えて待ち合わせ場所に行くらしい。
こっからのが近いとか、だから来たのか。
「お昼ご飯、軽くしとく?」
「屋台回るからそうする」
祭りのひとつの醍醐味だからな!屋台!
今年はイケメンが増えたから、いつもより視線が刺さりそうだけど夢中になると気にならなくなるから大丈夫かな。
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