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現れたのは話題のお方でした。蒼司でした。目が合うなり驚かれました。
いやこっちのが驚きなんだけど。もはやその物陰から窺ってたんじゃないかってくらいつくづくタイミング良いよね。
四人は慌てたように、更に挙動不審になってる。
「そっ…蒼司様…っ!」
うち一人の女子が涙声で、まるで助けにきてくれたの…!?、みたいな顔をした。
え、なに俺が悪いのこれ?
蒼司は四人を見て、俺を見て、眉を寄せた。それだけで迫力がありますね美形恐るべし。
「何してるの?」
今度ははっきりそう問うた。四人に。
え、俺は無視?
「えっ、と…あの……」
『カワイイ系』男子がモジモジして、なんだかちょっと嫌な予感がした。
でもとりあえず俺の疑問をぶつけましょうそうしましょう。
「蒼司はなんでここに?」
体育館裏なんて場所、意図しなきゃ来る機会はない。こっちは入り口の真裏だし、わざわざ回り込んで来ないでしょ。
だから名スポットなんですがね。
「あぁ、体育館に忘れ物した」
そう言いながら蒼司が腕を上げたその手には、何故か体育館用の運動靴。
ちょ、お前なんでそれ忘れたよ?
天然っぽい所があるなとは思ってたけど、これほどとは。
「それ忘れるってどうなの」
「ね、俺もびっくり」
真顔で普通に会話する俺らに、四人は呆けてる。ぽかん、って感じ。
あれさっきまでの空気は?みたいな。
すると女子の一人が、一瞬顔を歪ませたのが見えて。
こっちに向いていた体を軽々後ろに向けて地を蹴り、何と蒼司に突進よろしく抱きついた。
予想外の行動に、蒼司も俺も他の三人ですらも固まった。
「こっ…この人が、今までのイジメの犯人だろって、私たちを問い詰めてきて…っ、…なっ、殴られそうになって!…こわ…っこわか…っ」
おうっふ。
涙声で顔を埋めた女子が吐き出したのは、なんともびっくりするほどの擦り付けだった。
つか、え、俺キミら殴ろうとしたの?
蒼司は、ひぐひぐ言ってる女子に手をかけることも慰めることもなく目を細めて。
「……イジメ?」
その声の冷たさに、ぞくりとした。
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