04 瀬戸の様子を見てたら、目が合う。 その顔はさすが有名な不良、顔こわ。元々無表情で目付き悪くて怖面らしいけど。 端正な顔して、不良には珍しく染めたことがないらしい黒髪に耳にはピアス。 着崩した制服に好戦的で高圧的な雰囲気。 人一人分の近距離まで来て止まった瀬戸。 つうか、背ぇでか!190は軽く超えてんじゃね? 近いと軽く見上げる。俺だって小さくないし175はあるのに、なんかむかつく。 「お前、なにモン?」 「……へ?」 考え事プラス睨まれて何言うのかと思えば。 素っ頓狂な声が出てしまった。 「こいつら、柔道部の三年だぜ」 瀬戸の視線は再び先輩に向けられて、まるで威嚇してるような声。 一応先輩にこいつらって。つか柔道部だったのか。 なーるほど、動きに癖があったわけだ。んん、納得納得。 「……ふうん、…ッ!」 興味なさ気に返したら、勢い良く胸倉を掴まれた。 一瞬びっくりして息が詰まる。 身長差で爪先立ちになって、さらに近距離に整った顔が近付いて。 鬼だ、鬼。シワ深まるぞー。 「あんな動きも蹴りも、見たことねぇ」 やっぱ一部始終見てたのかよ。 趣味悪ぃな。 そりゃあ有名な不良らしいし、それなりに場数踏んでるような雰囲気。 好戦的っぽいし、こういうことに興味がないわけないよなぁ。良く見てる。 例えよくいる不良の喧嘩でもその動きでも。 俺に喧嘩を教えてくれたあの人のやり方は個性的で、それにあの人は滅多に喧嘩しない。 しかもここらへんじゃ見ないだろうし、それなりに興味をそそるのかもしんない。 同じ高校生で、ひとつ上の先輩。 高校自体は違うけど、あの人はこの南ヶ丘の姉妹校、東ヶ丘にいる。 南とは違って共学校じゃなくて男子校でしかも全寮制。完璧なる閉鎖的な空間。 会う機会はあんまりないけど、一応中学から仲良くしてもらってる。 同じ甘党ってのも相まったりして。 「聞いてんのかよ」 ぐっと力が増して少し苦しくなる。 ごめんごめん、聞いてなかった。 一層険しくなった顔に、がっつり眉間にシワ。 うーん。 「人間。なまもの」 「───…は?」 予想外の返答だったのか、なんか呆気に取られてる。 いや、だから。 [*][#] [戻る] |