05 「そこらへんによくいる男子高校生でーす」 「ッ、…テメェ、ふざけんな!」 っつぅ、響いた。 近距離で叫ばれると結構クるんだよ。うん、うっせぇな。 「あんなん、そこらへんの男子高校生が出来るもんじゃねぇよ」 うん、だよなぁ。そうくるよな。 なんかめんどくさくなってきた。 「てか、苦しいんだけど?」 「あ゙?」 聞いちゃいねぇ。この野郎。 心中で溜息を深く深ーく吐いて、爪先立ち状態の足の片方に力を入れた。 「……、ッ聞けって」 「…───ッぅ!」 言いながら、足の爪先で瀬戸の足のスネを蹴ってやった。気持ち強めに。 案の定解放された。 シャツを直しながら瀬戸を見れば、しゃがみ込んで足を掴んでた。 そんな強かった?…謝んないけどな、俺は。 ふ、と息を吐いて。 同じ高さになるようにしゃがみ込む。若干、瀬戸のが上だけど。 「あんさ、何者って言われても俺はそこらへんにいる普通の人間で、普通の男子高校生なの。瀬戸がなにを疑ってんのか知んねーけど、」 目を見開いてる瀬戸から目を反らさずに。 「チームになんか入ってねえし、」 あの人は大規模で有名なチームの傘下の筆頭にいるらしいけど。 「瀬戸に逆ギレされる筋合いもねぇの」 「……っ、なん、」 「それに。……どんな有名な不良だか知らないけど、お前もただの人間だから」 その表情は、驚き。 そんな驚くような事言った? ま、いいけど。 口元笑ってるけど、たぶん俺、目は笑ってないと思う。 「そーゆーわけで。……あ、その先輩達が起きたら口止めヨロ!」 じゃ、と手を挙げて。 ぽっかーん、としてる瀬戸を置いて、肩を回しながら屋上から出た。 - キーンコーンカーンコーン 「っやべ」 今昼休み中だった!濃すぎて忘れてた! ダッシュだ、俺! …そーいや瀬戸、授業どうすんだろ。 まぁ、いっか。自己責任自己責任。 「───…っ、セーフッ!」 「チャイム鳴り終わってっからー」 「先生来てなくてよかったね」 駆け込んで教室に入って、乱れた息を無意識に整えながら、自分の席に座る。 俺の前の席で横向きに座る多貴に突っ込まれ、俺の隣の席にいる伊織に微笑まれた。 確かに教卓には先生の姿はない。 [*][#] [戻る] |