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さてどうしたものか。
勢いで家にまで来てみたものの、呼鈴押しても返答はなかった。
実家ということで多少は緊張感をもって来てんのに……誰一人出てきやしねぇことに拍子抜けしたとこだ。
───泣き腫らした目をしているだろう愛姫はいったいどこに行った……?

携帯を開き、アドレス帳から通話ボタンを押す。

『はい?』
「お前いまどこだ」
『今家についたけど』
「よし、今すぐ会社に行け」
『はあ? だから今帰ったっつったろ』
「だから行けっつってんだろうが」
『何でだよ! お前が放った仕事を終えてきたんだよ! 俺は!』
「……主任から平に格下げすんぞコラ」
『……え、』
「とっとと行って愛姫の実家の番号を調べてこい」
『あのな、そういうのを職権乱用っつーんだぞ! だいたい、』
「分かったらすぐに折り返せよ。じゃーな」

閉じた携帯を助手席に投げ捨て、二階を見上げてみた。
いくつかある窓の中、律義にカーテンが閉められている部屋がある。白いレースの向こうのピンク色のカーテンと、窓際に飾られているぬいぐるみの後ろ姿。少女趣味のようなそれが、あいつの部屋がたぶんそこだと教えてくれた。
出かけているのか寝ているのか、それとも……
その薄暗い部屋で一人、泣いているのか。

玄関先にもう一度向かいドアの前に立つ。中から物音が聞こえることもなく、人の気配もしない。
何回呼びかけてみても返答があるわけもなく、その場をあとにした。

……ストーカーか、俺は。人に見られていたら確実に不審者扱いされてんだろうな。




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あきゅろす。
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