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ずっしりと重い頭痛に意識が浮上すると、見慣れない天井が視界に映った。
何処だろうと思案しているところに、視界の端から会計様の顔が現れた。
びっくりして慌てて口を開きかけたけど、会計様が口元に人差し指を立てたから口をつぐんだ。

「しー…」

僕は鈍痛のする頭を堪えながら頷いて、それから上半身を起こした。

「校舎裏で僕が言うた事覚えてるか?」

会計様は小さな声で言った。
会計様の言葉を聞いた瞬間、「手、貸したろうか」と言われた場面が頭の中に浮かんだ。

「手を、貸してくださる…って…?」

僕は会計様の声よりももっと小さな声で言った。
すると会計様がひとつ頷く。

「君の恋に協力したる。ただし、僕の指示に従ってもらう。それが条件や。どないする?」

突然の提案に僕が戸惑っていると、会計様は言葉を続けた。

「僕らな、利害一致してるんよ。君は勇馬が邪魔やろ?僕は会長が邪魔。お互いが邪魔なもんを僕らは欲しがっとるんよ」

その言葉に、僕は更に戸惑った。
会計様が田中勇馬を欲しい?それってどうして?
考えたくないけど、もしかして好意があるから?だとしても、どうして僕の彼氏が邪魔なのか分からない。

「あれ?分からへん?それとも認めたないだけ?君が会長ん事好きなんと同じで、僕も会長も、勇馬ん事が好きなんよ」


聞いた瞬間、心臓が握り潰されてしまいそうな程絞まった。
頭の中も真っ赤に染まって、目もチカチカする。

「…そ、な。…だって、…だって…僕が…会長様は、僕、と…」
「君と、なんや?」
「…僕と…付き、合って…僕…を、好きっ…て…」
「…へー、そうなんや、知らんかったわ。ほんなら尚更僕の言うた通りにしたらええよ。僕の言う通り動いたらな、全て元通りんなる」
「元通り…?」
「せやよ。勇馬が僕のもんなれば、会長は君んとこへ戻る。今は勇馬が側にいてるから移り気しとるだけや」

ああ、そうか。田中勇馬が側でずっと誘惑するから、2人共騙されてるんだ。

「会計様、僕会長様を元に戻したいです」
「ほんなら僕の言うた通りに動いてくれる言う事やね?」
「…あの、そうすれば、絶対元に戻るんですよね?」
「僕ん事が信用できひんのやったらやめよか」
「そ、そんな。会計様の事は信用してます。僕が不安になっただけなんです」
「まぁええよ。僕の考え聞いたら君も納得するやろうしね」
「あの、会計様の考えって…」
「それは今夜話したる。まずはこの後を上手く切り抜けなね。君こんままやと退学させられてまうよ」
「えっ…」
「当然やろ。確かに君の家の権力は相当のもんやから、そう簡単に退学にはならんやろうけどな。けど今回は別や。やから君は何をされても「知らん」で突き通さなあかんよ。ええね?」

僕は不安と戸惑いを抱えながらも、「はい」と頷いた。





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あきゅろす。
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