[携帯モード] [URL送信]

堕ちた先には

4限目の終わりを知らせるチャイムが鳴り、お昼休みを迎えた。


ほっと一息つき、教科書を机の中にしまっていると、ひときわ大きな声が聞こえた。


気になって横に視線を向けると、貴堂の机を取り囲むようにし、可愛らしい女の子達で人だかりができていた。


『ねぇ貴堂君、一緒にご飯たべよ』


『煉君は、どんな子がタイプ』


女の子達は我先にと積極的に話し掛けている。
こういうとき、女の子は何だか少し怖い気がするけど。


かなり格好良く、頭もいい煉は、転校初日から常に周りに女子生徒達がいて、人気があるようだ。


背が高くて、あれだけ格好良ければね。


対して僕は、可愛らしい顔立ちの母親に似てしまった為か、実年齢より幼く見えることも、よくある。


煉のような容姿が羨ましくもなってしまう。


せめて、もう少し身長が欲しかったな…。


煉を見つめながら、軽く落ち込んでいると透の弾んだ声がした。


「渚!お昼食べようぜ」


透はとても明るい声で満面の笑みを浮かべ、僕のサラサラの髪をかき回し、抱きしめられる。


透はなぜか僕だけスキンシップが激しく、迷惑なことにたまに力加減を忘れることがある。


「くっ…苦しいよ…透」


力加減のない透に抱きしめられ、さすがに本気で苦しくなってきた。


僕は透の軽く胸に手を起き、距離を置こうとした時、「離せ」と地を這うような低い声が耳に響いた。


横から腰を引き寄せられ、透から引き剥がされたかと思うと、温かい温もりと柑橘系の香りに包まれた。


誰……?


確認するため、顔を上に向けると、煉の顔があった。


[*前へ][次へ#]

6/8ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!