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季節シリーズ
30.



僕の言葉を聞き、蒼介さんは眉をひそめ石川君は不満そうな顔をする。

「だがな、何かあってからだと遅いぞ」

「大丈夫だよ。そんな度胸のある人じゃない」

「ねぇ、あいつ、何なの?」

不満そうな顔をしたまま石川君が聞いてくるのに、僕は一瞬どうしようか考え、結局口を開いた。

「あの人は・・・・僕の元彼だよ」

「そんな奴がなんで染矢君のところに来るのさ」

「さぁ」

僕に言ったのではないだろうけどコーヒーを飲みながら怒ったように呟く石川君の言葉にとりあえず返事をする。

「とにかく」

眉をひそめたままの蒼介さんが僕を軽く睨みながら言う。

「真妃は十分に気をつけろ。もし、何かあれば必ず、俺か拓未には言えよ」

「でも・・・」

「でもじゃない。いいな」

反論は許さないというような迫力で今度は完全に僕を見据えながら言う蒼介さんに僕は黙って頷いた。


それからも元彼の行動は変わらず、僕は段々、うんざりとした気持ちになると同時に気分が滅入ってきて笑う事が少なくなっていった。

大輝は相変わらず忙しそうでそんな僕の様子に気づくことも無く、ある意味、“大輝に迷惑をかけたくない”という気持ちをくずされること無く日々が過ぎていった。

しかし、ある日、あいつは遂に大輝の事を持ちだしてきた。

「今まで、お前に気を遣って彼氏の事はほっといてやったけどもう無理だな。お前が俺の話に付き合わないならお前の彼に直接、俺から言ってやるよ」

「何を?」

普段なら無視をするけど大輝の事を持ち出され、いつになく苛立ちと共に困惑を感じ立ち止まる。

「お前は俺と付き合ってて、お前の初めては俺が貰ってやったってことだよ」

「そんなこと。それなら彼はもう知ってるよ」

「え?」

「僕が話したから」

まさか、僕が大輝に過去を話していると思っていなかったのだろう。訳が判らないという表情をみせた。

一方、僕はこれで諦めるだろうと思い少し油断をした。

「話したのか?あのことを?お前が親に捨てられたことを?」

「そうだよ。親のことだけじゃなく君の事もね」

僕のその言葉を聞いて更に表情を歪めた元彼をみて、“なんでそんな顔を?”と思った。

「お前・・・・・フン、そうか。俺の事も知られているんだったら話は早いな。お前の代わりにそいつに会って話を聞いて貰うか」





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あきゅろす。
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