季節シリーズ
11
さんざん悩んだ挙句、大輝の申し入れを受けることにした。条件を付けて。
「条件?」
「そう。2人ともきちんと第1志望校に合格したら同居する」
「同棲だろ」
「とにかく合格しないと同居しない」
「・・・・あとからやっぱり止める、なんてのは無しだからな」
「判ってる」
「俺の実力をなめんなよ」
ニヤリと笑いながら言う大輝の顔を見ながら僕は“イケメンはどんな表情をしてもイケメンなんだな”と全く関係ない事を考えていた。
2人とも無事、第1志望に合格し、「覚えてるだろうな」と大輝に迫られ僕はようやく同棲をする覚悟ができた。
同棲するにあたって家具は僕の部屋の物以外は大輝が買い換えると言い出した。
理由を聞くと「真妃が悲しい思いをした時にあった物は真妃の目に入れたくない。これからは俺と新しい人生を歩くんだから新しい物を買おう」
と言ってくれた。
僕はその言葉が嬉しくて家具は全部大輝に選んでもらった。彼はしきりに「一緒に選ぼう」と言ってくれたが僕みたいな人間と
一緒に暮らしてくれることが嬉しくて、せめて大輝が気にいった物に囲まれて過ごせるようにして欲しいと言ったら複雑な顔をしながら
しぶしぶ頷いてくれた。
お金は僕が出すと言った。
父から振り込まれる生活費はあまり使わないでも大丈夫なように気をつけて生活をしていたため貯金はあったから。
大輝は「自分が言い出した事だから」と言って頑として受け取ろうとしない代わりに料理作って欲しいと頼まれた。
「真妃が作ってくれる弁当は美味いからな」
「たまに作るだけなのに・・」
「でも美味い」
そう笑顔で言われると返す言葉も無く、僕は「本当にそれだけでいいのか?」と聞きながら仕方なく受け入れた。
「俺は簡単なものしか作れないからな〜」
「大輝に喜んでもらえるように頑張るよ」
「これから飯が楽しみだ」
部屋割は少し揉めた。元々、ファミリー用だから広さは十分すぎるくらいあった。
3LDKの間取りのうち、大輝は1つを寝室、1つを勉強部屋、残りを客間として使おうといい、僕はそれぞれ個室を持とうと提案し
なかなか決着がつかなかったが僕の部屋がすでにあることを主張するとしぶしぶながら納得してくれた。
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