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季節シリーズ



「そうだけど?」

答えてから生活感が無いから驚いたんだろうということに気づく。

「両親の痕跡は徹底的に消したんだ」

笑いながら伝えると彼は1度口をギュッと結び、僕の部屋をみたいと言ったから案内した。

「ここに居る事が多いからどうしてもこの部屋は物が増えるんだ」

そう言いながらドアを開け中に入る。大輝は1歩、中に入ったまま動かないと思ったら急に息もできないくらいの力で抱きしめられた。

「っちょ、ちょっと苦しい」

思わず身を捩ったが大輝の腕の力は弱まらず僕は仕方なく力を抜いてその胸に凭れるようにした。

「高校を卒業したら一緒に暮らそう」

急に聞こえた言葉を耳が拾った途端、身体が硬直した。

「付き合い始める時、過去のことを話してくれただろ?それからずっと考えていたんだ。俺はお前を1人にしておくのは嫌だ。
 今日、家に来て益々そう思った。こんな空間にお前が1人で居たなんて・・」

“こんな所、1秒も居たくない!!”

両親から投げつけられた言葉が蘇る。だから僕はその言葉に嬉しさを感じると同時に怖れを感じてすぐに返事ができなかった。

「何を躊躇っているんだ?」

腕を解いて顔を覗き込むようにしながら彼が聞いてくる。

「躊躇うというか・・怖いんだ。一緒に住んだらきっと大輝も僕の事が嫌になる・・」

僕が俯きながら言うと大輝はギュッと抱きしめてくれながら言った。

「真妃。俺の事がまだ信用できないか?」

その言葉に首を横に振る。

「違う。信用出来ないのは自分自身なんだ。今は逢わない時間もあるからいいのかもしれないけど、一緒に住むようになったら
 僕の嫌な面が判って大輝に嫌われるんじゃないかって・・両親達のように“いらない”って言われ」

「そんな事は無い」

僕の言葉を遮るように彼がきっぱりと言う。




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