小説 月の陰〜第零話〜 静けさの漂う山の中 暗闇に浮かぶ"紅" その色はさらに濃さを増し、濃さが増すごとに辺りから聞こえる怒号と悲鳴・・・ 『貴様!裏切るとはどういうことか!!』 『皆の者!この裏切り者を捕らえよ!』 『このまま奴を野放しにしておくわけにはいかない。』 「父さん!母さん!」 『あなたはここにいなさい。』 『絶対にここから出るんじゃないぞ』 「父さん!母さん!・・・い、いやだぁぁぁぁぁぁぁ!!」 先ほどまで暗闇に浮かぶ"紅"は"赤"に変わり、その色の中心に一人の男が薄ら笑いを浮かべながら自分の目線の先に居るであろう人物に "その呪でどこまで俺を楽しませてくれる?" そう。あの日から俺と”奴”との呪という歯車が回りだした。 あの日、あの時、あの場所で”奴”に言われた瞬間から・・・・ |