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月三物語
ページ8

 青木が、涼とバンドの事で盛り上がって話している時。
 急に赤月の意識が、俺の所に飛んで来た。

『月島……もう、堪えられない! 悪いが、先に帰らして貰う!』


 びっくりした俺の前で、赤月が立ち上がり、スタスタと歩いて行ってしまった。

「章吾、どうしたのかな? 具合悪くなったりしてないよね?」

 俺の方を、涼が心配そうに見てるから、仕方なく後を追い掛けた。

「おい、赤月どうしたんだ? さっきのは……」

「言葉にするのも汚らわしい! 月島、手を出せ!」

 赤月が俺の手を無理矢理、引っ張り握った。

 『えっ? 何だ?』
 その時――赤月が何故、怒ったのか分かった。
 俺でも、堪えられない――

「青木の奴、信じられない! まさか、赤月の事を……だから、さっき憎しみを感じるって言ってたのか」

 赤月は少し落ち付いた様で、涼が心配してるから戻ろうと言った。

「分かった。俺が青木をどこかに連れていく」

 二人で学食に戻ったら涼はホッとした顔をした。
 俺は青木の襟首を掴み、半ば引きずる様にして、外へ連れて行った。

「ちょ、ちょっと……何だよ! 乱暴だな。月島お前、今日はおかしいぜ?」

 怒りが頂点に達していた俺は、一発ぶん殴った!

 何がなんだか分からない青木は、殴られても、ポカンとした顔をしてる。

「お前、赤月の事が好きなのか?」

 いきなり、ズバッと切り出したら、青木が真っ赤になった。

「何で分かったんだよ。俺がアイツを好きだって……」

 俺は深呼吸をひとつして、話し出した。

「青木……お前はお調子者だが、口は堅いよな? 誰にも言わないって誓えるか? 約束を守らないとお前を始末しなければ、ならなくなるかも知れない……」



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あきゅろす。
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