月三物語
ページ9
《青木side》
「お前を始末しなきゃ、ならなくなるかも知れない……」
月島にそう言われた時、俺はハア? と間の抜けた返事をした。
だってそうだろ? 月島と俺は高校の時からのダチだし、結構仲良かったんだぜ? そんなヤツから急に、殺すって言われてもなあ――
だけど……月島の目付きが普通じゃねえ。
て、ゆ〜か、完全にイッちゃってる。
こえぇ〜何でだ? 俺、何か悪い事でもしたか? 誰か、教えてくれ〜!
「つ、月島。落ち着け! 話せば判る! おい、大丈夫か――?」
思い詰めた月島の口から、信じられない言葉が出て来た。
「青木、赤月はテレパスだ……そして、俺と涼も超能力者なんだ。だからお前が、さっきまで考えていた、イヤらしい事は皆、筒抜けなんだよ」
「嘘だろ……月島?!」
あんまりだ。俺がなにしたって云うんだ! ただ、好きなヤツを頭の中で、俺のモノにしただけじゃねえかよ! それが、どうして筒抜けだって――?!
『クソォ――! 涙が出て来やがった。アイツに合わす顔がないや――』
「青木……お前、本気だったのか?」
『当たりまえだ! 冗談で男なんか好きになるかよ!』
「そんな訳ないだろ! 冗談だよ。アイツが嫌がるから、からかっただけ……だ」
月島は凄く真剣な顔で「済まない……」なんて、言いやがる。
俺は道化でいるのも疲れたから黙って行こうとした。
なのに、月島は俺の腕を掴み、連れて行こうとしている。
必死になってふりほどき、俺は逃げ出した。
『バカヤロ―――!』
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