月三物語
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「赤月コイツは、高校の時からの友人の青木瞬介。それで……」
「分かるぜ! 赤月章吾と美月涼だろ? 超〜有名人だもんな! 赤月は、2年の首席だし。美月は2年跳び級の17歳の天才だもんな〜俺達とはココが違うぜ。それに……スンゲェ〜綺麗だしな!」
出た! 青木の悪い癖が。
コイツは、綺麗なのと可愛いのが大好きな、それこそ男だろうが女だろうが節操が無い。
そこまで考えた時、不意に今朝の事を思い出した。
もしかして? 青木の気になる子って。
『涼の事か?』
そう思ったら、胸がザワザワして青木の顔が憎たらしくなった。
「おい、何でそんなに、睨み付けてるんだよ〜」
青木に言われ、気が付いた。
いつの間にか睨んでいたらしい。
「よろしくね〜瞬介」
ニッコリ笑って話す涼に、俺の胸がキリキリ痛んだ。
『くっそ――! なんだって云うんだ!』
赤月は珍しく、ふて腐れて横を向いている。
「赤月、どうした?」
俺が声を掛けたら、コッチを見た。
どうしたのか、顔が真っ赤になっている。
「ねえ、名前で呼んでも良い?」
何て、ふてぶてしいんだ! 知り合ったばかりなのに、名前で呼ぶなんて。
でも、そうやって気楽な青木が、うらやましくもあり、憎たらしくもある。
「良いよ〜浩司の友達だったら、オレ達の友達だよ! ね〜浩司?」
俺の顔を見てニッコリ微笑む涼に、俺も顔が緩む。
青木がびっくりした顔で呟いた。
「信じらんね――! 月島があんな顔で笑うなんて!」
『勝手に言ってろ!』
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