誰かに聞いた怖い話
・・・廃墟にて2
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『やっぱり廃墟や廃屋って言っても、何処かにちゃんとした持ち主は居る訳だし…家宅侵入になるんだしね…それに…』

私は此所まで話すと息を整える為に、手にしたマグを口元へと運び、ゆっくりと中身を喉に流し込んだのでした



『その廃墟は海へと続く道の途中にあるんだけど、ゆっくりと小高い山を縫う様に走る山道が開ける時、急に目の前に現われるのがその建物なんだ…そう本当に急に、緑に覆われた山肌の中に突然その建物は現れるんだよ』



『ふぅーん…緑に囲まれた建物か…なんか良いね、そう言うのってさ』

私の話に合いの手を入れる様に言ったのは、旅行好きの彼でした

そして彼は話の先を続ける様に、私に視線で合図したのです



『それでね、その建物は以前はホテルとして営業していたそうだけど、随分前に火を出して再建は断念したそうなんだ…でもね、取り壊す為には数億は掛かると噂されていたんだよ』



『数億?それは、又、随分と途方も無い話だな…それだけあれば新しいサーフボードを買って、ハワイやオーストラリアのビッグウェイブを楽しめるのに…』


『君はそればっかりだね』

それを聞いて笑い出したのは、病院長の息子でした

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