誰かに聞いた怖い話
・・・保健室15
.
『大丈夫?どうしたのかな?』

彼女はそう声を掛けながらベットへと近付き、閉め切られたカーテンをそっと開けたのです



『?』

けれども、奥のベットの上には…誰も居ませんでした



ただ…明らかに誰かの居た痕跡が、その場所には残されていました



まるで今迄そのベットに誰かが寝て居たかの様に、折り畳んで足下の方に重ねて置いた筈の薄手の毛布が、ベットの上に乱れ広がっていたのです



『誰かしら?そのままにして…』

ベットの上に広がる毛布を手に取り、綺麗に折り畳みながら彼女は呟きました



この様子から察すると、彼女が教職員室から戻るほんの少し前迄、此のベットには間違いなく誰かが居た筈でした

彼女はシーツの乱れを直す際に、その指先に感じたのです

誰かの温もりが残されている事に…



…もしかすると、あの子の仕業かも…

それは彼女の脳裏にふと浮かんだ、取り留めのない考えでした



その時です!

彼女は、背筋を走る冷たいモノを感じたのです

いいえ、そればかりでは無く、誰かの視線すらも…

その誰のモノとも知れぬ視線に…ベットの乱れを直す手を止め、後ろをそっと振り向いた彼女の目の前には…

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