誰かに聞いた怖い話
・・・山越えの道5
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でも、どうしてあの広い幹線道路を、そのまま真直ぐ行ったのではいけないのだろう?

あの広くて新しい幹線道路を行く方が、これから僕達が向おうとしている山越えの狭い道を行くよりも、どれだけ早く安全に目的地に到着出来るか知れないのに…

一体全体、彼女は何を考えているのだろうか?

何の答えも見出だせない僕の耳の奥に、カーラジオから流れる軽快な音楽が、深く深く染み込んでいたのでした



先程彼女に指示されたこの山越えの旧道は、あの山を巻く様に走る幹線道路が出来てからというもの、物好きな走り屋達の峠道の練習や、地元の住民が行楽時期の抜け道として使う以外には余り利用する者も無く、至る所で舗装の亀裂やガードレールの損壊を生じ、山の斜面から転げ落ちた大小様々な岩石が道路上に散在し、中には道路の三分の一程も埋め尽くす場所すらあったのです

そして疑問と共に目覚めた小さな疑惑を払拭出来ない僕は、一度は飲み込んだ質問を彼女にぶつけてみたのでした



『どうして…あの道じゃいけなかったんですか?』

『こんな時間だから、あっちの方が早く着くと思いますけど…』
僕のその質問に、彼女は短く答えたのでした



『通れないの』

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