誰かに聞いた怖い話
・・・山越えの道4
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♪⌒♪♪ ♪♪⌒♪ ♪♪
薄暗い車内に流れる軽快な音楽に少し辟易しながら、僕は先程の彼女とのやり取りを思い出していた
『こっちの出入り口から出て!』
僕が車をコンビニの明るい駐車場から、広い幹線道路に出そうとクラッチを繋いだ時だった
隣りに座る彼女が僕に向かって、今し方車を乗り入れた入口とは違う、もう一つの入口を指差したのです
その彼女の急な指示に慌てた僕は、思わずブレーキを踏んでしまい…繋がり掛けたクラッチ板のガリガリと擦れる異音を辺りに放ちながら、僕の車はガクンと前のめりに停止したのでした
『えっ?でも…こっちの方が道路に出やすいですよ』
疑問を感じた僕は、彼女に思わず聞き返したのだった
『良いから、こっちから出て!』
けれども彼女は、僕の疑問にも小さな抗議にも関心を示さずに、コンビニの駐車場へのもう一つの入口…幹線道路とは交差した市道への入口を、再び僕に指示したのでした
『?』
そして市道に出て信号待ちをしていた僕が、幹線道路へと左折の合図を出しながら車を走らせ始めた時に、再び彼女が不思議な指示を出したのです
『ここで曲がらず、真直ぐに行って!』
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