誰かに聞いた怖い話
・・・続白い乗用車9
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トンネルの入口付近は、外の明かりが少し差込み、ほんのりと明るかった…
しかし、なにぶん古いトンネルの為に中には灯りが付いておらず、明かりと言えば車のヘッドライトだけが頼りであった…
車が闇の中に吸い込まれると、ヘッドライトの照らし出す空間以外は、辺り一面漆黒の闇と化して、トンネルの壁面すら良く見えなかった…
俺達は何か異変が無いか、変わった気配が無いか…気を付けながら各々辺りに注意を払っていたが…
別段何事も無く…眩い光と共に、車は明るい世界に踊り出していた…
俺は拍子抜けしてしまった…
『何か感じたか?』
『いや、別に…』
『…』
『何にも〜♪無かったネェ〜♪』
俺と彼奴は、彼奴の彼女の間延びした呑気そうな返事に、思わず吹き出してしまった…
笑われた本人も、訳がわからずにつられて笑っている
しかし、その中でただ一人…俺の彼女だけが笑っていなかった…
俺は改めて彼女をここに連れて来た事を後悔していた…
そんなに怖がりだとは思っていなかったのだ…
本当に悪い事をしたな…本気でそう思っていたのだ…
でも、その心配が見当違いだった事は後から判る…
そう…彼女の日記から…
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