誰かに聞いた怖い話
・・・続白い乗用車10
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『じゃあ、今度は真ん中辺りで一度車を停めて、クラクションを一回鳴らしてみてくれ…』
『うん?…真ん中辺りで一回だな?』
彼奴の注文に…俺は確認の意味で問い返した
『そう言う事だ♪…上手くいけば、何か反応がある筈だぜ!』
『まあ…あんまり反応して欲しくないがな…』
『早くいこ〜よ〜♪』
『はい、はい』
今、気付いたのだが…トンネルのこちら側から見ると、まるで巨大な鬼か、化け物が口をぽっかりと開けているような…そんな感じがする……
俺はもう一度、その暗い漆黒の闇が続く穴の中へ…車を向けた…
『プァーン!…………』
少し低音の効いた車のクラクションが、漆黒のトンネルの壁に反響して、四方八方から波のように俺達に押し寄せ……そして離れて行く………
俺達はさっきと同じように、周りの空気を……闇の気配のちょっとした変化をも見逃すまいと、意識を集中させたが…何も起こらなかった…
『じゃあ次は、お前の車で試すか…』
車を出口に向け走らせながら、俺は闇がさっきより深くなったような気がしていた……そして、何かの視線も…
俺はその時の、背中を伝う厭な汗を覚えている…
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